競売と任意売却の違いとは?それぞれのメリットとデメリットを比較

2022.03.09

住宅ローンの返済が困難になって自宅を手放す場合の売却方法として、競売と任意売却の2通りがあります。どちらも同じではなく、メリットもあれば、デメリットもあるので注意が必要です。今回は、競売と任意売却それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

競売とは?

不動産の競売とは一般的に、裁判所を通じて強制的に不動産を売却されることです。

不動産を購入した際、金融機関などで住宅ローンを組んで返済していくのが一般的です。住宅ローンを申し込む際には、貸主である金融機関等が物件に対して抵当権を付けます。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ってしまった場合に、該当する不動産を担保として債権を回収できる権利のことです。

住宅ローンの滞納が続いてしまい、6か月前後になると、金融機関から通知が届き「期限の利益」が失われます。期限の利益を失うと、分割での返済ができないことになり、残債を一括で返済することが求められます。

ほとんどの場合では、一括での返済ができない為、金融機関や保証会社は、抵当権を行使して、差押さえの手続きを開始することになります。そして、債権者は債権を回収するために、競売の申し立てを裁判所に行います。申し立てを受理した裁判所から「競売開始決定」という通知が債務者に届きます。

競売の手続きのために、裁判所の執行官と不動産鑑定士によって、競売をするために差し押さえられた物件に関して、「現況調査」と呼ばれる詳しい調査が行われます。競売の手続きは強制的に行われ、自宅住所や自宅の外観・内装写真などもインターネットを通じて公開されます。

現況調査から、さらに3か月ほど経過すると、競売に関する詳細な日程が決定されます。入札が開始され、落札されると、その不動産に住み続けることができなくなり、退去を余儀なくされてしまいます。

競売にかけられると、市場価格よりもかなり低い価格で落札されてしまうケースがほとんどです。また、競売物件になると現況調査によって、近隣に聞き取りをされる場合もあります。そして、新聞やインターネットで情報が公開されるので、必然的に近所などにも知られるリスクが高くなります。

任意売却とは?

任意売却をするためには、督促状や催告状が届いたら、まずは不動産会社などの専門家に相談しましょう。そこで物件の販売価格を決定し、債権者と交渉して承諾を得た上で、売却を進めていくのです。

通常の不動産売却と同じような手順で販売されますので、市場の相場に近い価格となる可能性があるでしょう。競売で売るよりも高い価格で売却することで、住宅ローンの残債をより少なくすることができます。

競売と任意売却をメリットとデメリットで比較

競売と任意売却の、メリットやデメリットをまとめてみました。それぞれについて見ていきましょう。

競売のメリット

・裁判所を通じて強制的におこなわれる為、何もする必要がない

競売のデメリット

・市場価格の7割ほどの価格でしか売却できない
・居住している場合、強制的に退去させられる
・近隣住民などに知られてしまう
・自分や家族のプライバシーが守られない
・落札されても住宅ローンが残る金額が大きい

任意売却のメリット

・市場価格に近い価格で売却できる
・通常の不動産売却と同じように売却できる
・引っ越し時期を交渉できる
・引っ越し費用や仲介手数料などの諸費用を売却価格から充当できる場合がある

任意売却のデメリット

・個人情報に延滞の記録が残る
・売却には債権者の承諾が必要
・連帯債務者、連帯保証人の同意が必要
・売却をしても債務が残り返済が続いていく

まとめ

競売と任意売却を比較した場合、大きな違いは競売が市場価格の7割程度での売却になるのに対して、任意売却ではほぼ市場価格と同等の金額で売却されることが多く、単価が高いだけに3割の差は数百万円程度と大きな差になります。
また、ご近所に知られずに売却出来ることもあり、家族のプライバシーを守ることが出来ます。

住宅ローンが支払えずに、自宅を手放すことになったとき、任意売却も競売も同じように感じるかもしれません。

しかし、新しい生活への立て直しを考えた場合には、自分の意思で売却に取り組むことが出来る任意売却の方がメリットが大きいと言えます。住宅ローンの支払いが厳しくなったら、早めに専門家に相談して対策を考えましょう。

この記事を書いた人

松原元

松原 元(まつばら つかさ)

金融会社、不動産会社、コンサルティング会社などで経験を積み個人事業として『社労士・行政書士つかさ事務所』にて中小企業の経営支援をおこないながら、(株)リーガルシンクにて不動産を中心としたコンサルティングサービスを提供。

公認不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

社会保険労務士 行政書士

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