住宅ローンを延滞したらどうなる?万が一のときの対処法とは

2022.04.04

「住宅ローンを延滞しそう…」
「気付いたら延滞していた…」
と悩まれている方もいるのではないでしょうか。
住宅ローンの延滞は個人の信用情報に大きく関わるため注意が必要です。
最悪の場合には競売といって、強制的に住宅を売りに出す手続きが取られることもあります。
この記事では住宅ローンを延滞したときに起こる問題と、延滞したときの対処法について解説していきます。
読み終えて実際に行動を起こせば今後は住宅ローンに悩まされることがない生活を送れるようになるかもしれません。

住宅ローンの延滞によって起こる5つの問題

住宅ローンを延滞してしまうと5つの問題が生じます。
・遅延損害金が発生する
・ブラックリストに載ってしまう
・分割で返済できなくなる
・連帯保証人にも請求が行く
・任意売却か競売のどちらかが必要になる

遅延損害金が発生する

住宅ローンを延滞すると、年14.6%の遅延損害金が発生します。
遅延損害金とはカンタンに言うと、借金の返済を滞納した際に生じる損害賠償金です。
「借入残高×遅延損害金利率÷365日×延滞日数」で遅延損害金は計算されます。
例えば借入残高が1,000万円で30日間延滞してしまっている場合には、
1,000万円×14.6%÷365日×30日=120,000円
と、たった30日でも高額な遅延損害金が発生します。

ブラックリストに載ってしまう

住宅ローンを3ヶ月以上延滞すると、ブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストとは個人の信用情報に傷が入ってしまう状態のことです。
この状態になってしまうと、新たな借り入れができなくなったりクレジットカードが作成できなくなったりします。
ただし、住宅ローンを1日延滞したくらいでブラックリストに載ることはありません。

分割で返済できなくなる

住宅ローンの延滞が6ヶ月を経過すると期限の利益を喪失します。
期限の利益とは設定された期限まで支払いを待ってもらえる権利のことです。
この権利を喪失してしまうと、分割で返済している住宅ローン契約が解除されることとなり、一括返済が必要となります。
もし、一括返済が不可能な場合には、任意売却もしくは競売のどちらかを選択しなければなりません。

競売にかけられてしまう

先ほども述べたように、期限の利益を喪失して一括返済ができない場合は任意売却もしくは競売になります。
ここで任意売却の手続きを進めなければ強制的に競売にかけられてしまいます。
期限の利益を喪失してから競売にかけられるまで半年程度しかないため、任意売却を望む場合は早めに手続きを行わなければなりません。

連帯保証人にも請求が行く

住宅ローンを延滞して任意売却もしくは競売をしたけど完済し切れなかった場合は連帯保証人にも請求が行ってしまいます。
連帯保証人と契約者の責任は同等であるため、契約者と同じように返済をしなければなりません。
最悪の場合は連帯保証人の自宅まで任意売却もしくは競売にかけなければならなくなります。

住宅ローンの延滞から競売までの流れ

住宅ローンの延滞が続けば、最終的に自宅が競売にかけられてしまいます。
ここでは延滞が始まってから競売にかけられるまでの流れを表にしてみましたので確認しておきましょう。

住宅ローンの延滞から競売までの流れ
延滞1ヵ月~2ヵ月 ・支払い請求が届く
延滞2ヵ月~3ヵ月 ・催促状が届く ・督促状が届く
延滞3ヵ月~6ヵ月 ・期限の利益の喪失通知が届く
・代位弁済通知書が届く
延滞6ヵ月~10ヵ月 ・差押通知書が届く
・競売開始決定通知が届く
・裁判所の執行官による現地調査が行われる
延滞10ヵ月~16ヵ月 ・競売が始まる

住宅ローンの延滞に気づいたらすべきこと

住宅ローンの延滞に気づいたらすべきこと
住宅ローンの延滞に気づいたら、まずは利用している金融機関に連絡を入れましょう。
金融機関はいつまで経っても延滞の連絡がこないと印象を悪くしてしまい、サポートの質が悪化することがあります。
一刻も早く連絡を入れて支払う意思があることを伝えてください。
また、金融機関に連絡を入れたら返済用の銀行口座に遅延損害金分を含めたお金を入金しましょう。
遅延損害金は「借入残高×遅延損害金利率÷365日×延滞日数」で計算されます。
引き落とし日によっても延滞日数が異なってくるため、具体的な金額を確認しておくことをおすすめします。

住宅ローンの延滞を防ぐためのポイント

今後、住宅ローンの延滞を防ぐためには3つのポイントを意識しましょう。
これらに取り組むだけでも延滞してしまう可能性を十分に下げることができます。
・金融機関にリスケジュールを相談する
・家計支出を見直す
・住宅ローンの借り換えを行う

金融機関にリスケジュールを相談する

住宅ローンを延滞しそうになったら、まずは金融機関にリスケジュールを相談しましょう。
リスケジュールとは住宅ローンの返済期間を延長してもらうことで月々の支払いを減額する方法です。
ただし、住宅ローンを完済するまでの期間が伸びてしまうことで、その分利息が多くかかるというデメリットもあります。
リスケジュールに伴うリスクを金融機関と相談しながら検討してみてください。

家計支出を見直す

収入は変わらないけれど貯蓄を増やしたい際には家計支出を見直すのが一番です。
月々発生する支出を削減すれば、それだけ住宅ローンの支払いに回すお金が増えることになります。
最も見直しが必要となるのが、毎月支払いが決まっている固定費です。
固定費を削減すれば長期間にわたって支出を抑えられます。
例えば毎月の水道光熱費を2,000円抑えられれば、それだけで年間24,000円を住宅ローンの支払いに回せます。
削減できそうな固定費はないか探してみましょう。
固定費一覧
・住居費
・水道光熱費
・通信費
・保険費
・教育費
・定額サービス費など

住宅ローンの借り換えを行う

住宅ローンの借り換えを検討するのも一つの手段です。
住宅ローンの借り換えとは今よりも金利の低い住宅ローンに組み直して、今のローンを一括返済することをいいます。
金利の高いローンから低いローンへと切り替わることで月々の返済額を減らせるという仕組みです。
しかし、融資手数料やローン保証料など様々な諸費用が借り換えを行う際にも発生します。
この金額によっては金利が低いローンに借り換えても逆効果ということもあるため、住宅ローンの金利の差と諸費用を確認した上で借り換えを検討しましょう。

まとめ

この記事では住宅ローンを延滞したときに起こる問題と、延滞したときの対処法について解説してきました。
住宅ローンを延滞してしまうと、最悪の場合、自宅が競売にかけられてしまいます。
少しでも「住宅ローンの支払いが厳しい」と感じたらすぐに金融機関に相談するようにしましょう。
金融機関に相談すれば無理なく返済ができるようリスケジュールや住宅ローンの借り換えを提案してくれるはずです。
一度住宅ローンを延滞してしまうと信頼を失ってしまい、金融機関が協力的でなくなる場合もあるため注意してください。

この記事を書いた人

松原元

松原 元(まつばら つかさ)

金融会社、不動産会社、コンサルティング会社などで経験を積み個人事業として『社労士・行政書士つかさ事務所』にて中小企業の経営支援をおこないながら、(株)リーガルシンクにて不動産を中心としたコンサルティングサービスを提供。

公認不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

社会保険労務士 行政書士

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