住宅ローンの支払いに困ったときの「任意売却」とは

2022.07.27

「住宅ローンの支払いを滞納している…」
「支払いが苦しいから家を売りたいけどローンが残っているから無理か…」
と悩まれている方に検討して欲しいのが任意売却です。
任意売却とは住宅ローンの返済が難しい場合に債権者(銀行などの金融機関)の了承を経て売却する方法をいいます。
この記事では任意売却とは何か、またメリットや注意点などを詳しく解説していきます。
任意売却を行えばあなたの住宅ローンを完済させることもできるかもしれません。

任意売却とは

任意売却とは先ほども述べたように、住宅ローンの返済が難しい場合に金融機関の了承を経て売却する方法です。
債権者は住宅ローン契約の際に、不動産を担保にできる抵当権と呼ばれる権利を使用します。
本来、家を売却する際には住宅ローンを完済して抵当権を解除しなければなりません。
しかし、任意売却なら金融機関の了承を得ることで残債がある状態でも売却が可能となります。
任意売却を行える条件として以下の5つがあるため自分が満たしているか確認してみましょう。
・代位弁済通知書が届いている
・市場価値のある不動産である
・債権者の同意を得ている
・家の名義人が同意している
・連帯保証人の同意を得ている

任意売却と競売の違い

任意売却と対になってよく登場するのが競売です。
競売とは債権者が裁判所を通して家を差し押さえ、強制的に売却することをいいます。
任意売却と比べて低価格で売られてしまったり経済的な負担が大きかったりというデメリットがあります。
また、ネット上に競売物件として掲載されるため近隣の人に経済状況を知られてしまう可能性も。
これらのデメリットから競売を避けて任意売却を狙うことが一般的となっています。

任意売却のメリット

任意売却を行うメリットは主に4つあります。
・市場相場と同程度の価格で売れる
・近隣の人に経済状況を知られずに済む
・諸費用を売却額から支払える
・引越し費用を軽減できる可能性がある

市場相場と同程度の価格で売れる

任意売却は一般的な不動産売却と同じような流れで行われるため市場相場と同程度の価格で売却可能です。
その一方で、競売の場合は市場相場の5~6割程度の価格で売却されてしまいます。
できるだけ高い価格で売却するために、当然ながら競売よりも任意売却を行いたいという方が多いです。

近隣の人に経済状況を知られずに済む

任意売却であれば一般的な不動産売却に見えるため近隣の人に自分の経済状況を知られることはありません。
しかし、競売の場合はネット上に競売物件として掲載されることから知られてしまう可能性があります。
今後もその地域で生活をしていくのであれば知られないに越したことはないでしょう。

諸費用を売却金から支払える

家を売却する際には仲介手数料や税金など様々な諸費用が発生します。
任意売却なら自己資金を使う必要がなく、売却金の中から諸費用を支払うことが可能です。
しかし、競売の場合は売却時に必要となる諸費用も自己負担となります。
ただでさえ経済的にひっ迫している状況で、諸費用が必要ないというのは大きなメリットといえるでしょう。

引越し費用を軽減できる可能性がある

任意売却は引越し費用を売却金から支払える可能性があります。
これは債権者に決定権があるため「引越し費用はあげない」と言われると従わなければなりません。
引越し費用を売却金から支払ってくれる場合の相場は約10~30万円となっています。

任意売却を行う際の注意点

任意売却を行う際の注意点が3つあります。
これらを注意しなければ売却後の生活に支障をきたしたり、そもそも任意売却が成立しなかったりします。
十分に確認してから任意売却を行うようにしましょう。
・信用情報に傷が付く可能性が高い
・買い手が見つからないと競売にかけられる
・悪徳な不動産会社も存在する

信用情報に傷が付く可能性が高い

任意売却は住宅ローンを3~6ヵ月滞納して代位弁済通知書が送られてこないと行えません。
そのため意図的に任意売却を行おうとすると信用情報に傷が付く可能性が高いです。
信用情報機関に滞納記録が残るのは3回以上滞納した時点といわれています。
クレジットカードの審査や金融機関からの借り入れなどが行えなくなるため意図的な滞納はやめておきましょう。

買い手が見つからないと競売にかけられる

任意売却の手続きを行っても期間内に買い手が見つからない場合は強制的に競売にかけられます。
この期間とは競売の開札前日までで、代位弁済通知書が届いてから半年程度で買い手を見つけなければなりません。
任意売却を検討される方は余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。

悪徳な不動産会社も存在する

任意売却を取り扱う不動産会社の中には悪徳な会社も存在しています。
その手口としては、本来必要ではない費用を請求してきたり契約するために適当な嘘をついてきたりというケースが多いです。
任意売却は法的な要素も関わってくるため、専門的な知識を持っていなければ話に流されてしまいやすいです。
弁護士や司法書士などの法律の専門家と繋がりがある不動産会社を選ぶことをおすすめします。

任意売却で住宅ローンの返済を行うまでの流れ

任意売却で住宅ローンの返済を行うまでの流れをまとめてみました。
これから任意売却を考えているという方は参考にしてください。

  1. 不動産会社に任意売却の相談をする
  2. 不動産会社が査定を行う
  3. 債権者と査定額の調整を行い、任意売却の許可をもらう
  4. 物件の販売を開始する
  5. 買い手が見つかれば承諾をもらって配分調整を行う
  6. 契約完了

任意売却後に住宅ローンの残債がある場合の返済はどうなる?

任意売却後に住宅ローンの残債がある場合は分割で返済していくことになります。
債権者があなたの経済状況に合わせて返済額を設定してくれるため負担に感じることなく返済できるでしょう。
分割返済の相場は月に1~3万円程度となっています。

まとめ

この記事では任意売却とは何か、またメリットや注意点などを詳しく解説してきました。
住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、すぐに金融機関と相談するようにしましょう。
任意売却を行えるのは競売の開札前日までと期間があるため、相談を遅れると手続きが間に合わない可能性があります。
万が一、競売にかけられてしまうと売却額が下がってしまったり近隣の人に経済状況を知られてしまったりということも。
今できる最善策を取れるようにできるだけ早く金融機関に相談をして対処しましょう。

この記事を書いた人

松原元

松原 元(まつばら つかさ)

金融会社、不動産会社、コンサルティング会社などで経験を積み個人事業として『社労士・行政書士つかさ事務所』にて中小企業の経営支援をおこないながら、(株)リーガルシンクにて不動産を中心としたコンサルティングサービスを提供。

公認不動産コンサルティングマスター 宅地建物取引士

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

社会保険労務士 行政書士

お問い合わせ

    お名前必須

    フリガナ必須

    電話番号必須

    メールアドレス必須

    お問い合わせ内容